「不老長寿」の読み方と意味

不老長寿(ふろうちょうじゅ)とは、いつまでも老いることなく、長く生き続けることをいいます。「不老」は老いないこと、「長寿」は長く生きることで、二つを重ねて、人が古くから抱いてきた願いを表す四字熟語です。

語源と伝説

古代中国の秦の始皇帝が、不老長寿の薬を求めて東の海に使者を送ったという故事はよく知られています。日本にも、不老不死の仙人が住むとされる蓬莱山の伝説や、竹取物語で帝が不死の薬を富士山で焼いたという物語があり、東洋では長く「老いない・死なない」ことが理想として語られてきました。

一方、インドで5千年にわたり受け継がれてきたアーユルヴェーダは「長寿(生命)の科学」と呼ばれ、ラサーヤナ(若返り・長寿の学問)という分野を持ちます。伝説ではなく、体質と生活を整えて健康に長く生きるための体系として、現代に続いています。

「不老不死」との違い

不老不死は、老いず、死なないこと、つまり永遠の命を意味します。不老長寿は、老いを遠ざけて健康に長く生きることで、死なないことまでは含みません。研究会が扱うのは後者です。現代の老化研究が目指しているのも、寿命を無限にすることではなく、老いによる病気や衰えを遅らせ、健康に過ごせる期間(健康寿命)を延ばすことです。

科学から見た「老いる」とは

現代の生物学では、体の老化は「体内にどれだけ老化した細胞が増えたか」で決まると考えられています。若い体には増殖能力の高い細胞が多く、年齢とともに、分裂を止めた老化細胞が増えていきます。老化細胞は死んでいるわけではありませんが、周囲に炎症を起こす物質を出し、組織の働きを弱めます。これが積み重なると、加齢にともなう病気につながります。

細胞が老化する原因としては、テロメアの短縮、活性酸素、老廃物の蓄積など複数の仮説があり、研究室では老廃物の蓄積を有力と見て研究を続けています。(詳しくは「老化のしくみ」の記録へ)

老化は遺伝で決まるのか

遺伝子がまったく同じ一卵性双生児でも、老け方と寿命には差が出ます。老化に対する遺伝の寄与は2割程度で、残りの8割は生活習慣と環境で決まると言われています。つまり、生活を変えることで老化を遅らせる余地は大きいということです。「長寿遺伝子」と呼ばれる候補(サーチュイン、テロメラーゼ、IGF経路など)についても、単独で寿命を大きく延ばす遺伝子は見つかっていません。(詳しくは「長寿遺伝子はあるか?」の記録へ)

「若返り」は可能なのか

分裂を止めた老化細胞は二度と戻らない、というのが長く定説でした。しかし横浜市立大学 長寿科学研究室は、老化細胞のタンパク質合成をわずかに抑えると、細胞が再び増殖を始めることを培養細胞で示しました。細胞レベルでは「若返り」が起こり得ることを示した研究です。ただし、これはあくまで細胞と実験動物での結果であり、人の体で同じことが起きると確かめられたわけではありません。(詳しくは「若返りの実践」、「寿命はコントロールできる」の記録へ)

世界の研究はどこまで来たか

若い血液の投与、カロリー制限、幹細胞、老化細胞除去薬、NMNなどのサプリメント。世界では多くのアプローチが研究され、動物では寿命の延長が報告されているものもあります。一方で、人での効果が確かめられたものはまだ限られ、市場には研究段階の技術が「合法だから安全」と誤解されたまま提供されている例もあります。研究会は、何が分かり、何がまだ分かっていないのかを区別して伝えることを大切にしています。(詳しくは「不老長寿研究のいま」、「過熱する抗老化市場」の記録へ)

研究会が考える不老長寿

研究会が目指す不老長寿は、伝説の秘薬ではなく、老化のしくみを理解し、生活習慣と環境を整えることで、健康に長く生きることです。そのために、研究の成果を分かりやすく伝え続けます。